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by SAGUS
モデル

Mistralが「Large 4」を先行公開 1兆パラメータの重みは月末に配布へ

仏Mistral AIが総パラメータ1兆の「Mistral Large 4」をAPIでプレビュー公開し、重みを月末に公開すると表明した。自社で動かせる大型モデルの選択肢が増える一方、第三者の総合評価では最上位のモデルとの差が残る。

サーバーの棚の前で、大きな無地の木箱を台車で運び入れる作業員と、脇に積まれた硬貨

仏Mistral AIは10月6日、総パラメータ数1兆の新モデル「Mistral Large 4」のプレビュー版をAPIで公開した。学習済みのモデル本体である「重み」は、今月末までに公開する。自社のサーバーで動かせる大型モデルの選択肢に、欧州発の1兆パラメータ級が加わることになる。ただし第三者の総合評価では、最上位のモデルとの差はまだ埋まっていない。

1兆パラメータを欧州の自社設備で学習

Mistralの発表「Introducing Mistral Large 4」によると、Large 4は入力されるトークンごとに一部の部品だけを動かす「専門家の混合(MoE)」という構成をとる。1兆のパラメータのうち、1トークンの処理で動くのは490億だ。米Hugging Faceのモデルページは、入力と出力の層まで含めると520億になると説明している。

学習には米NVIDIAの「Grace Blackwell」GPUを3800基使った。Mistralは、欧州にある自社のデータセンターでゼロから学習したと説明した。対応する言語は160を超える。

2025年12月の「Mistral Large 3」の発表では、総パラメータは6750億、動くのは410億だった。SiliconANGLEの報道によると、同社はLarge 4を生んだ学習を止めておらず、今後数か月でより大きな版を見込んでいる。

推論の深さは2段階から選ぶ

開発者向けの推論の解説文書によると、Large 4では推論の深さを「high」と「none」の2つから選ぶ。highでは、最終の回答の前に考えた過程を返し、その分トークンが増える。noneでは考える量を最小限にし、過程は返さない。

関数呼び出しや、決めた形式で出力させる機能への対応は、開発者向けのモデル文書に載っている。

開発者のSimon Willison氏は、自身のブログの記事で2つの設定を試した。自転車に乗るペリカンの絵をSVGで描かせると、highのほうが出来がよかったという。使ったトークンもhighが2717と、noneの3275より少なかった。

第三者の総合評価は64位

Mistralが示した数字では、コーディングエージェントの評価「DeepSWE v1.1」で61.7%、端末操作の評価「Terminal-Bench 4」で28.3%を記録した。複数の評価をまとめた「Coding Agent Index」は49.8%で、中国の「DeepSeek V4 Pro」や「Qwen3.8 Max」を上回ったという。

同社が強みに挙げるのはサイバーセキュリティだ。発表によると、調査会社Artificial Analysisのサイバーの指数のうち、実在の脆弱性を再現して直す試験で82%を記録し、全モデルで最高だった。セキュリティの競技から集めた40問の課題集「Cybench」では、93%を解いたとしている。

ところが、Artificial Analysisの評価ページでは、プレビュー版の総合点は38で、225モデル中64位だった。推論型と非推論型を合わせた同じ価格帯のモデルの中央値26は上回る。一方で、評価中に出力したトークンは2億と、中央値8100万の2倍を超えた。Willison氏は、中国の「DeepSeek 4.1 Flash」より下の位置だと指摘し、最先端からおそらく6か月ほど遅れた位置に戻ったと評した。

料金欄に2通りの価格が並ぶ

モデル文書の料金欄は、100万トークンあたり入力1.36ドル、出力4.18ドルに並べて、半額の入力0.68ドル、出力2.09ドルを示している。発表文に載るのは前者の価格だ。一度読んだ入力を使い回す時の料金も、0.14ドルと0.07ドルの2つが並ぶ。半額の表示がどんな条件や期間で適用されるかは、文書に書かれていない。

重みの公開までの間、Mistralはサイバーセキュリティの大手や審査を通ったパートナー、国の機関と組み、実際の環境で攻撃役を立てた検証を進める。Hugging Faceのページは公開予定日を10月31日としている。重みのライセンスはまだ示していない。前の世代のLarge 3は、商用でも使える「Apache 2.0」だった。

Large 4は、欧州の自社設備で学習した1兆パラメータ級のモデルとして、月末に重みが公開される予定だ。Mistralは公開後、プライベートクラウドやオンプレミスでも動かせるようにするとしている。

編集部の見方

編集部は、Large 4を選ぶかどうかは総合点の順位より、重みが手元に来た時の条件で決まると見る。発表はコーディングやサイバーの高い数字を並べるが、第三者の総合評価では64位にとどまるからだ。一方、自社で動かせる1兆パラメータ級が出れば、API提供元の価格や方針に左右されない選択肢が増える。読者は、月末に示されるライセンスと、自社の課題での実測の両方を確かめるとよい。重みの公開が遅れるか、利用条件が商用に厳しければ、この見方は外れる。

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